令和8年度宅建試験を分野別に振り返る:出題の傾向と、来年の学習の組み立て方
令和8年度の宅地建物取引士資格試験は、令和8年10月18日に実施されました。この記事では、本試験を分野ごとに振り返り、来年の合格に向けた学習の組み立て方を考えます。出題の基準は、令和8年4月1日現在施行の法令です。
■ 先にお断り この記事の数字について
会員の正答率は、宅建BOOSTで自己採点した会員11名の結果です。全国の受験者や、宅建BOOSTの会員全体の実力を表す数字ではありません。分野ごとの傾向をつかむための参考にとどめてください。また、正解の番号は各校の解答速報にもとづくもので、公式の正解は令和8年11月25日の合格発表で確定します。
■ 5つの分野と問題数
50問の内訳は次のとおりです。
・権利関係 14問(問1〜問14)
・法令上の制限 8問(問15〜問22)
・税・その他 3問(問23〜問25)
・宅建業法 20問(問26〜問45)
・免除科目 5問(問46〜問50。登録講習の修了者は解答しない問題)
最も問題数が多いのは宅建業法で、全体の4割を占めます。ここを土台にする方針は、今年も変わりません。
■ 権利関係(会員の正答率 36%)
令和8年度本試験の権利関係では、問1で所有者不明土地・管理不全土地の管理命令、問2で賃貸借、問3で共有、問4で相続、問5で契約の終了、問6で売買と賃貸借の比較、問7で代理、問8で契約の解除、問9で法定地上権、問10で契約、問11で借地、問12で借家、問13で区分所有、問14で不動産登記が問われました。民法を中心に、借地借家法、区分所有法、不動産登記法まで、幅広く出題されています。
会員の正答率が特に低かったのは、問7(0%)、問1・問2・問8・問14(それぞれ18%)でした。新しい制度の細かな約束事、代理や契約解除のような基本分野の例外規定が目立ちます。権利関係は、条文だけでなく判例の知識も必要で、「覚えたつもり」と「判定できる」の差が出やすい分野です。
■ 法令上の制限(会員の正答率 39%)
都市計画法が2問(問15・問16)、建築基準法が2問(問17・問18)、宅地造成及び特定盛土等規制法が1問(問19)、土地区画整理法が1問(問20)、農地法が1問(問21)、国土利用計画法が1問(問22)という並びでした。
会員の正答率は、問17が0%、問19が18%と、低い問題がはっきり分かれました。1つの法律あたりの出題は1〜2問で、範囲が広い割に、1問の重みが大きい分野です。すべての法律を深く掘るよりも、各法律の「誰が・何をするのに・誰の許可が必要か」という骨組みを、広く浅く押さえる進め方が合っています。
■ 税・その他と免除科目(会員の正答率 53%)
税・その他では、問23で直系尊属からの住宅取得等資金の贈与を受けた場合の贈与税の非課税の特例、問24で不動産取得税、問25で地価公示法が問われました。免除科目の範囲では、問46で住宅金融支援機構、問47で広告に関する景品表示法、問49で土地、問50で建物の構造が出題されました。
会員の正答率53%は、免除科目を含む8問の問題ごとの正答率を平均したものです。免除科目の問題は、解答した会員が4〜5名とさらに少ないため、数字の比較には向きません。税や統計のように、毎年の制度の変更に影響を受ける分野なので、受験する年度の最新の情報で確認し直す習慣が必要です。
■ 宅建業法(会員の正答率 45%)
宅建業法は20問で、会員の正答率は、権利関係(36%)や法令上の制限(39%)を上回りました。広告、宅建士、媒介契約、営業保証金、免許・届出、犯罪収益移転防止法、重要事項の説明、報酬、37条書面、クーリング・オフ、案内所、住宅瑕疵担保履行法と、論点は広い範囲に及んでいます。
一方で、問29(媒介契約後の業務)と問33(専任の宅建士)の正答率は、どちらも9%でした。分野全体の正答率が高くても、条文の限定の言葉を読み落とすと、一気に点を落とす分野です。
■ 出題形式の傾向 個数問題・組合せ問題が多い
令和8年度本試験の問題を見ると、50問のうち15問が、「正しいものはいくつあるか」「正しいものの組合せはどれか」といった、個数・組合せの形式でした。内訳は、宅建業法が13問、権利関係が2問です。
この形式は、4つの記述の正誤を、1つずつ確実に判定できないと、答えが合いません。1つでも判断を誤ると、全体が外れます。問7のように、4つとも誤りという出題もあります。日ごろの学習でも、選択肢を見て感覚で選ぶのではなく、記述ごとに、正誤とその理由を言えるようにしておくことが、直接の対策になります。
■ 合格点の見方
合格点は、毎年変わります。不動産適正取引推進機構が公表している資料によると、令和7年度までの過去10年の合格点(50問の一般受験者)は、33点から38点の間で動いています。令和8年度については、試験直後の速報の時点で、複数の資格学校が34点前後(34点±1点)と予想していました(宅建BOOST調べ)。ただし、これはあくまで各校の予想で、公式の合格点は令和8年11月25日の合格発表で確定します。自己採点の結果は、公式発表を待って判断してください。
■ 令和9年度に向けた学習の組み立て
分野ごとの結果を踏まえると、次の組み立てが考えられます。
・宅建業法を土台に据える
20問と問題数が多く、条文の文言に沿って問われます。限定の言葉(遅滞なく、専任の、求めがなくても、など)に注意して、誰が・何を・いつ行うのかを整理します。
・権利関係は、例外と判例を重点的に
基本の条文を理解したうえで、ただし書、例外、判例の結論を、セットで確認します。新しい制度は、条文の骨組みから入ると整理しやすくなります。
・法令上の制限は、骨組みを広く
法律ごとの許可・届出の要否、誰が許可するのかを、一覧にして繰り返し確認します。
・税・その他と免除科目は、最新の情報で確認
受験する年度の制度の内容に基づいて学習します。
・個数問題・組合せ問題に慣れる
記述ごとに、正誤の印を付けてから、最後に数えます。
・間違えた問題は、間違えた理由を書く
「知らなかった」のか、「知っていたが読み違えた」のか。理由を分けておくと、次の対策が決まります。
■ まとめ
令和8年度の本試験は、宅建業法を軸に、権利関係の例外規定、法令上の制限の広い範囲、そして個数・組合せ形式への対応が問われた試験でした。会員11名の結果は、この傾向を裏づける参考情報の1つです。合格点の予想は各校で34点前後とされていますが、公式の発表は令和8年11月25日です。まずは、結果を待ちながら、今年の論点を、自分の言葉で説明できる状態にしておきましょう。
宅建BOOSTでは、令和8年度本試験の論点をもとにしたオリジナル問題で解き直せる「REVENGE」機能を、令和9年度版で提供する予定です。
よくある質問
令和8年度の宅建試験の合格点は何点ですか。
公式の合格点は、令和8年11月25日の合格発表で確定します。それまでは、試験直後の速報の時点で、複数の資格学校が34点前後(34点±1点)と予想していた、という段階です。
令和8年度の本試験で、個数問題や組合せ問題はどのくらい出ましたか。
宅建BOOSTが数えたところ、50問のうち15問が個数または組合せの形式でした。宅建業法で13問、権利関係で2問です。記述ごとに正誤を判定する練習が、直接の対策になります。
この記事の会員の正答率は、全受験者の傾向を表していますか。
表していません。宅建BOOSTで自己採点した会員11名の結果で、人数が少ないため、傾向をつかむための参考にとどめてください。