宅建士試験対策:農地法3条・4条・5条の許可と届出の違いを徹底解説

公開: 2026-09-14 ・ 宅建BOOST 編集部

農地法3条の許可が必要なのはどのような場合ですか?

農地法3条は、農地を耕作目的で売買したり、賃借したりするなど、権利を移動させる際に都道府県知事等の許可が必要となる制度です。

「農地法(のうちほう)」は、農地の確保と効率的な利用を目的としています。e-Gov法令検索の農地法第3条第1項では、「農地又は採草放牧地について所有権を移転し、又は地上権、永小作権、質権、使用貸借による権利、賃借権若しくはその他の使用及び収益を目的とする権利を設定し、若しくは移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない」と規定されています。この許可は、一般的に都道府県知事が行いますが、一部の市町村では農業委員会が許可権者となります。許可基準は、譲受人が農地を効率的に利用できるか、周辺農地への悪影響がないかなど、複数の要件を満たす必要があります。例えば、譲受人が新たに農地を取得する場合、取得後の農地面積が「50アール(5,000平方メートル)」以上になることが求められることがあります(ただし、地域によって異なります)。

農地法4条の許可が必要なのはどのような場合ですか?

農地法4条は、農地の所有者自身が、その農地を農地以外の目的、例えば宅地や駐車場などに転用する際に、都道府県知事等の許可を要する規定です。

これは「自己転用」と呼ばれ、農地の農業上の利用を保護するために設けられています。e-Gov法令検索の農地法第4条第1項では、「農地を農地以外のものにする者は、政令で定めるところにより、都道府県知事の許可を受けなければならない」と明記されています。許可権者は原則として都道府県知事ですが、転用面積が「4ヘクタール(40,000平方メートル)」を超える大規模な転用計画では、農林水産大臣の許可が必要です。許可の判断基準には、転用計画の妥当性や、周辺の優良農地への影響などが含まれます。例えば、市街化調整区域内の農地は、原則として転用が厳しく制限されます。

農地法5条の許可が必要なのはどのような場合ですか?

農地法5条は、農地の権利移動と転用を同時に行う場合に、都道府県知事等の許可が必要となる制度です。

これは、農地を売却して、その買主が農地を宅地などに転用するケースが典型的です。e-Gov法令検索の農地法第5条第1項では、「農地又は採草放牧地を農地又は採草放牧地以外のものにするため、これらの土地について第三条第一項本文に掲げる権利を設定し、又は移転する場合には、政令で定めるところにより、当事者が都道府県知事の許可を受けなければならない」と定められています。許可権者は4条と同様に原則都道府県知事ですが、大規模な転用を伴う権利移動では農林水産大臣の許可が必要です。この条文は、農地の売買と同時に転用が行われることで、実質的に農地が失われることを規制します。例えば、買主が工場を建設するために農地を購入し、同時に転用を行う場合が該当します。

農地法における届出が必要なのはどのような場合ですか?

農地法では、原則として許可が必要ですが、市街化区域内の農地を転用する場合など、特定の条件を満たせば許可ではなく届出で済む特例が存在します。

国土交通省の資料によると、都市計画法で定められた「市街化区域」内にある農地については、農地法第4条第1項第7号または第5条第1項第6号の規定により、転用する際に農業委員会への届出で足りるとされています。これは、市街化区域が都市として積極的に開発を進める地域であるため、農地転用を比較的緩和する措置です。届出は、転用しようとする日の「21日前」までに農業委員会に行うことが一般的です。ただし、この届出は、あくまで市街化区域内の農地に限られる特例であり、それ以外の区域では原則として都道府県知事等の許可が必要です。届出を怠ったり、虚偽の届出をした場合には、罰則が科される可能性があります。

農地法3条・4条・5条の主な違いは何ですか?

農地法3条は耕作目的の権利移動、4条は自己による農地転用、5条は権利移動と転用を同時に行う場合に適用される点が大きな違いです。

以下の表で、各条文の主な違いをまとめました。

条文目的許可権者(原則)主な規制対象届出の特例(市街化区域)
3条耕作目的の権利移動都道府県知事等農地の売買、賃借などなし(常に許可)
4条自己による農地転用都道府県知事等農地所有者自身が宅地などに転用あり(農業委員会へ届出)
5条権利移動と同時に転用都道府県知事等買主が農地を宅地などに転用あり(農業委員会へ届出)

よくある質問

農地法3条の「耕作目的の権利移動」とは具体的にどのような行為を指しますか?

農地法3条における「耕作目的の権利移動」とは、農地を農地のまま利用し続けることを前提として、所有権を売買で移転したり、賃借権を設定したりする行為を指します。例えば、農家が別の農家から農地を購入して耕作する場合などが該当します。

農地法4条と5条の「転用」の違いは何ですか?

農地法4条は、農地の所有者自身がその農地を農地以外の目的(宅地、駐車場など)に転用する「自己転用」を規制します。一方、農地法5条は、農地の権利を移動させると同時に、その取得者が農地を農地以外の目的へ転用するケースを規制します。つまり、4条は「所有者による転用」、5条は「権利移動とセットでの転用」が主な違いです。

市街化区域内の農地は、なぜ届出で転用できるのですか?

市街化区域は、都市として優先的かつ計画的に市街化を図るべき地域と都市計画法で定められています。この地域内の農地は、将来的に宅地などへ転用されることが想定されているため、農地の利用転換を円滑に進める目的で、許可ではなく農業委員会への届出で転用が認められています。これは、全国農業会議所の情報でも確認できます。

出典・参考