建蔽率と容積率の違いと計算方法|緩和の+10%・+20%と道路幅員×4/10・6/10
建蔽率と容積率は何が違う?
建蔽率は敷地面積に対する建築面積の割合、容積率は敷地面積に対する延べ面積の割合です。建蔽率は「敷地をどれだけ覆えるか(真上から見た広さ)」、容積率は「全部の階を足していくら建てられるか」を決めます。
| 建蔽率 | 容積率 | |
|---|---|---|
| 何の割合か | 建築面積 ÷ 敷地面積 | 延べ面積 ÷ 敷地面積 |
| 根拠条文 | 建築基準法第53条第1項 | 建築基準法第52条第1項 |
| 上限を決めるもの | 用途地域ごとに都市計画で定める | 用途地域ごとの都市計画+前面道路の幅員 |
| 上限の幅 | 30%〜80% | 50%〜1300% |
| 緩和のしかた | 数値に10%・20%を加える | 特定の床面積を延べ面積から外す |
建築基準法第53条第1項は、建築面積の敷地面積に対する割合を「建蔽率」と呼び、用途地域ごとに定める数値を超えてはならないと定めています。第52条第1項は、延べ面積の敷地面積に対する割合を「容積率」と呼び、定める数値以下でなければならないとしています。
建蔽率の上限は用途地域ごとに何%?
都市計画で選ばれた数値が上限です。用途地域によって選べる数値の組み合わせが違います(建築基準法第53条第1項)。
| 用途地域 | 都市計画で定められる建蔽率 | 号 |
|---|---|---|
| 第一種・第二種低層住居専用地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、田園住居地域、工業専用地域 | 30・40・50・60% | 1号 |
| 第一種・第二種住居地域、準住居地域、準工業地域 | 50・60・80% | 2号 |
| 近隣商業地域 | 60・80% | 3号 |
| 商業地域 | 80%(固定) | 4号 |
| 工業地域 | 50・60% | 5号 |
| 用途地域の指定のない区域 | 30・40・50・60・70%(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て定める) | 6号 |
商業地域だけは80%で固定です。「商業地域の建蔽率は都市計画で定める」という記述は誤りになります。
容積率の上限は用途地域ごとに何%?
| 用途地域 | 都市計画で定められる容積率 | 号 |
|---|---|---|
| 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域 | 50・60・80・100・150・200% | 1号 |
| 第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域、近隣商業地域、準工業地域 | 100・150・200・300・400・500% | 2号 |
| 商業地域 | 200〜1300%(100%刻みの12段階) | 3号 |
| 工業地域、工業専用地域 | 100・150・200・300・400% | 4号 |
| 用途地域の指定のない区域 | 50・80・100・200・300・400% | 8号 |
建蔽率の緩和はどれだけ足せる?
10%を加える場合と、20%を加える場合と、制限がなくなる場合の3つに分かれます。加算は「都市計画で定められた数値」に足します。
| 場面 | 効果 | 根拠 |
|---|---|---|
| 防火地域内(建蔽率の限度が80%とされている地域を除く)にある耐火建築物等 | +10% | 法第53条第3項第1号 |
| 準防火地域内にある耐火建築物等または準耐火建築物等 | +10% | 法第53条第3項第1号 |
| 街区の角にある敷地またはこれに準ずる敷地で、特定行政庁が指定するもの | +10% | 法第53条第3項第2号 |
| 上の防火・準防火の要件と角地の要件をどちらも満たす | +20% | 法第53条第3項 |
| 建蔽率の限度が80%とされている地域で、かつ防火地域内にある耐火建築物等 | 制限なし | 法第53条第6項第1号 |
| 巡査派出所、公衆便所、公共用歩廊その他これらに類するもの | 制限なし | 法第53条第6項第2号 |
2019年(令和元年)施行の改正で、準防火地域内の耐火建築物等・準耐火建築物等も10%の加算の対象になりました。「加算されるのは防火地域内の耐火建築物だけ」という記述は現行法では誤りです。
角地の緩和は、角地なら自動的に適用されるものではありません。特定行政庁が指定したものに限られます。ここは条文の文言どおりに覚えてください。
敷地が防火地域の内外にまたがるとき
敷地が防火地域の内外にわたる場合で、敷地内の建築物の全部が耐火建築物等であるときは、敷地は全部が防火地域内にあるものとみなして加算・適用除外の規定を使います(法第53条第7項)。
敷地が準防火地域と、防火地域及び準防火地域以外の区域(防火地域でも準防火地域でもない区域)とにわたる場合で、敷地内の建築物の全部が耐火建築物等または準耐火建築物等であるときは、敷地は全部が準防火地域内にあるものとみなします(同条第8項)。条文の文言のまま覚えるのが安全なところです。
前面道路の幅員で容積率はどう決まる?
前面道路の幅員が12m未満のときは、「幅員(m)× 下の数値」も上限になります。都市計画で定められた数値と比べて、低い方が実際の上限です(法第52条第2項)。
| 用途地域 | 掛ける数値 |
|---|---|
| 第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域 | 4/10 |
| 第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域 | 4/10(特定行政庁が都道府県都市計画審議会の議を経て指定する区域は6/10) |
| その他の用途地域(近隣商業・商業・準工業・工業・工業専用など) | 6/10(指定区域は4/10または8/10) |
前面道路が2つ以上あるときは、幅員が最大のもので計算します(法第52条第2項かっこ書き)。狭い方で計算させる出題が定番です。
例:幅員6mの道路に接する第一種住居地域で、都市計画の容積率が300%の場合。6 × 4/10 = 2.4 なので240%。300%と240%を比べて低い方をとり、上限は240%です。
特定道路からの緩和
幅員15m以上の道路(特定道路)に接続する幅員6m以上12m未満の前面道路で、特定道路からの延長が70m以内の部分に敷地が接しているときは、前面道路の幅員に一定の数値を加えて計算できます(法第52条第9項)。加える数値は施行令第135条の18で次のように定められています。
Wa =(12 − Wr)×(70 − L)÷ 70
Wr は前面道路の幅員(m)、L は特定道路から敷地が接する前面道路部分の直近の端までの延長(m)です。
容積率に入れなくてよい床面積は?
延べ面積から外せる部分と、その限度は次のとおりです。限度の分母(3分の1・5分の1・50分の1)が問われます。
| 外せる部分 | 限度 | 根拠 |
|---|---|---|
| 地階で天井が地盤面からの高さ1m以下にある、住宅または老人ホーム等の用途の部分 | 住宅・老人ホーム等の床面積の合計の1/3 | 法第52条第3項 |
| 政令で定める昇降機の昇降路(エレベーターシャフト) | 限度なし | 法第52条第6項第1号 |
| 共同住宅または老人ホーム等の共用の廊下・階段 | 限度なし | 法第52条第6項第2号 |
| 自動車車庫等の部分(駐輪場・誘導車路・操車場所・乗降場を含む) | 建築物の各階の床面積の合計の1/5 | 施行令第2条第1項第4号・第3項第1号 |
| 専ら防災のために設ける備蓄倉庫の部分 | 1/50 | 施行令第2条第3項第2号 |
| 蓄電池(床に据え付けるもの)を設ける部分 | 1/50 | 施行令第2条第3項第3号 |
| 自家発電設備を設ける部分 | 1/100 | 施行令第2条第3項第4号 |
| 貯水槽を設ける部分 | 1/100 | 施行令第2条第3項第5号 |
| 宅配ボックスを設ける部分 | 1/100 | 施行令第2条第3項第6号 |
地階の緩和は「住宅」だけでなく老人ホーム等も対象です。また、共用の廊下・階段を外せるのは共同住宅と老人ホーム等で、事務所ビルや商業ビルの共用廊下は外せません。エレベーターの昇降路は建物の種類を問わず外せます。
自動車車庫等の1/5は建築基準法ではなく施行令に置かれた規定です。条文の場所を問う出題があります。
敷地が2つの地域にまたがるときはどう計算する?
建蔽率も容積率も、それぞれの地域の限度に、その地域にある敷地部分の面積の割合を掛けて足す加重平均で求めます(建蔽率は法第53条第2項、容積率は法第52条第7項)。用途制限のように「過半の属する地域の規定を敷地全部に適用する」わけではありません。ここは混ざりやすいところです。
例:敷地300㎡のうち、建蔽率60%の地域に200㎡、建蔽率80%の地域に100㎡がかかる場合。
60% × (200/300) + 80% × (100/300) = 40% + 26.67% = 66.67% が敷地全体の建蔽率の限度です。
計算はどの順でやる?
- 用途地域から都市計画の建蔽率・容積率を確認する
- 敷地が複数の地域にまたがるなら加重平均する(法第53条第2項・第52条第7項)
- 容積率は前面道路の幅員(12m未満なら幅員×4/10または6/10)と比べ、低い方をとる(法第52条第2項)
- 建蔽率は加算(+10%・+20%)と適用除外を当てる(法第53条第3項・第6項)
- 容積率は不算入の床面積を差し引いて延べ面積を出す
数字だけまとめると?
| 数字 | 何の数字か | 根拠 |
|---|---|---|
| 30%〜80% | 建蔽率の上限の幅(商業地域は80%固定) | 法第53条第1項 |
| 50%〜1300% | 容積率の上限の幅 | 法第52条第1項 |
| 10% | 防火・準防火の要件、または角地の指定による建蔽率の加算 | 法第53条第3項 |
| 20% | 上の2つをどちらも満たすときの建蔽率の加算 | 法第53条第3項 |
| 12m | 前面道路による容積率制限がかかる幅員の境目(12m未満で適用) | 法第52条第2項 |
| 4/10・6/10 | 前面道路の幅員に掛ける数値(住居系は4/10、その他は6/10) | 法第52条第2項 |
| 15m・6m・70m | 特定道路の緩和の条件(特定道路15m以上・前面道路6m以上12m未満・延長70m以内) | 法第52条第9項 |
| 1/3 | 地階の住宅・老人ホーム等の部分を延べ面積から外せる限度 | 法第52条第3項 |
| 1/5 | 自動車車庫等の部分を延べ面積から外せる限度 | 施行令第2条第3項第1号 |
| 1m | 地階の緩和の条件(天井が地盤面からの高さ1m以下) | 法第52条第3項 |
試験でよく狙われるポイントは?
- 「角地であれば建蔽率に10%が加算される」→ 誤り。特定行政庁が指定した角地等に限られます(法第53条第3項第2号)
- 「建蔽率の加算は防火地域内の耐火建築物にしか認められない」→ 誤り。準防火地域内の耐火建築物等・準耐火建築物等も対象です(同項第1号)
- 「建蔽率80%の地域の耐火建築物は建蔽率の制限を受けない」→ 不正確。防火地域内にあることも必要です(法第53条第6項第1号)
- 「前面道路が2つあるときは狭い方の幅員で容積率を計算する」→ 誤り。幅員が最大のもので計算します(法第52条第2項)
- 「前面道路の幅員による制限と都市計画の数値は、高い方が上限になる」→ 誤り。低い方が上限です
- 「敷地が2つの用途地域にまたがるときは、過半の属する地域の建蔽率を敷地全部に適用する」→ 誤り。加重平均です(法第53条第2項)。過半で決まるのは用途制限の方です
- 「事務所ビルの共用の廊下・階段は容積率の計算から外せる」→ 誤り。外せるのは共同住宅または老人ホーム等です(法第52条第6項第2号)
- 「地階の住宅部分は床面積の2分の1まで延べ面積に算入しない」→ 誤り。3分の1が限度です(法第52条第3項)
- 「自動車車庫の不算入(5分の1)は建築基準法に定めがある」→ 誤り。施行令第2条第3項第1号です
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よくある質問
建蔽率の角地緩和はどんなときに適用されますか?
街区の角にある敷地またはこれに準ずる敷地のうち、特定行政庁が指定したものに限り、都市計画で定められた建蔽率に10%が加算されます(建築基準法第53条第3項第2号)。角地であれば自動的に緩和されるわけではありません。防火地域内の耐火建築物等(または準防火地域内の耐火建築物等・準耐火建築物等)の要件も満たすときは、合わせて20%が加算されます。
前面道路が2つあるとき、容積率はどちらの幅員で計算しますか?
幅員が最大のもので計算します(建築基準法第52条第2項)。幅員が12m未満のときは「幅員(m)×4/10(第一種・第二種低層住居専用地域、田園住居地域、第一種・第二種中高層住居専用地域、第一種・第二種住居地域、準住居地域)または6/10(その他の用途地域)」を求め、都市計画で定められた容積率と比べて低い方が上限になります。
駐車場の床面積はどこまで容積率の計算から外せますか?
自動車車庫等の部分は、建築物の各階の床面積の合計の5分の1を限度として延べ面積に算入しません。この規定は建築基準法ではなく建築基準法施行令第2条第1項第4号・第3項第1号に置かれています。あわせて、備蓄倉庫と蓄電池設置部分は50分の1、自家発電設備・貯水槽・宅配ボックスの設置部分は100分の1が限度です。