宅建の手付金|2割の上限・解約手付・保全措置(5%か10%かつ1,000万円)

公開: 2026-07-23 ・ 更新: 2026-09-25 ・ 宅建BOOST 編集部

宅建業者が自ら売主のとき、手付金はいくらまで受け取れる?

代金の10分の2(2割)までです。これを超える額の手付は受領できません(宅地建物取引業法第39条第1項)。8種制限のひとつで、相手方が宅建業者のときは適用されません。

手付金の上限と保全措置の早見表

場面ルール根拠
手付の額代金の2割まで法第39条第1項
手付の性質性質を問わず解約手付として扱う法第39条第2項
買主からの解除手付を放棄して解除できる法第39条第2項
売主(業者)からの解除手付の倍額を現実に提供して解除できる法第39条第2項
解除できる期限相手方が契約の履行に着手するまで法第39条第2項ただし書
買主に不利な特約無効法第39条第3項
損害賠償額の予定・違約金合算して代金の2割まで(超えた部分が無効)法第38条

手付金等の保全措置は、いつ必要?

宅建業者が自ら売主となる売買で、買主から手付金等を受け取る前に必要です。ただし、次のどれかに当たるときは不要です。

物件保全措置が不要になる金額根拠
未完成物件(工事完了前)手付金等が代金の5%以下、かつ1,000万円以下法第41条第1項ただし書・施行令第3条の5
完成物件(工事完了後)手付金等が代金の10%以下、かつ1,000万円以下法第41条の2第1項ただし書・施行令第3条の5
共通買主へ所有権移転の登記がされたとき、買主が所有権の登記をしたとき法第41条第1項・第41条の2第1項

金額はどちらも「かつ」です。代金5,000万円の完成物件なら10%は500万円なので、500万円までは保全措置なしで受け取れます。代金2億円の完成物件では10%が2,000万円になりますが、1,000万円を超えた時点で保全措置が必要です。

「手付金等」とは何を指す?

契約の締結日以後、物件の引渡し前に支払われる金銭で、代金に充当されるものです(法第41条第1項)。名前は手付金でも中間金でも、代金に充当されるなら手付金等に含まれます。契約を結ぶ前に受け取る申込証拠金は、条文の「契約の締結の日以後に支払われるもの」に当たらないため手付金等ではありませんが、契約後に代金へ充当されるものは手付金等として扱われます。

保全の方法は物件によって違う?

違います。指定保管機関による方法が使えるのは、完成物件だけです。

方法未完成物件完成物件内容
銀行等の保証委託契約○○銀行等が返還債務を連帯保証し、その書面を買主に交付する(法第41条第1項第1号)
保証保険契約○○保険会社と契約し、保険証券などを買主に交付する(法第41条第1項第2号)
指定保管機関による保管×○指定保管機関との手付金等寄託契約と、買主との質権設定契約の両方を結び、それぞれの書面を買主に交付する(法第41条の2第1項第1号・第2号)

売主が保全措置を講じないときは、買主は手付金等を支払わないことができます(未完成物件は法第41条第4項、完成物件は法第41条の2第5項)。支払を拒んでも買主の債務不履行にはなりません。

試験でよく狙われるポイントは?

民法の手付とは何が違う?

民法では、解約手付による解除は「相手方が履行に着手するまで」で、売主は手付の倍額を現実に提供します。宅建業法第39条は、宅建業者が自ら売主となる場合に、額の上限(2割)と、買主に不利な特約の無効を重ねて定めたものです。買主が宅建業者のときは、8種制限として適用されません。

よくある質問

宅建業者が自ら売主のとき、手付金の上限はいくらですか?

代金の10分の2(2割)までです。これを超える額の手付は受領できません(宅地建物取引業法第39条第1項)。買主が宅建業者のときは、8種制限として適用されません。

手付金等の保全措置が不要になるのはどんなときですか?

未完成物件では手付金等が代金の5%以下かつ1,000万円以下のとき、完成物件では10%以下かつ1,000万円以下のときです。また、買主へ所有権移転の登記がされたときや、買主が所有権の登記をしたときも不要です(法第41条・第41条の2、施行令第3条の5)。

指定保管機関による保全は未完成物件でも使えますか?

使えません。指定保管機関による手付金等の保管は、工事完了後の完成物件だけの方法です(法第41条の2第1項第1号)。未完成物件では、銀行等の保証委託契約か保証保険契約のいずれかになります。

売主が保全措置を講じないとき、買主はどうなりますか?

買主は手付金等を支払わないことができます(法第41条第4項)。支払を拒んでも買主の債務不履行にはなりません。

出典・参考