宅建の手付金|2割の上限・解約手付・保全措置(5%か10%かつ1,000万円)
宅建業者が自ら売主のとき、手付金はいくらまで受け取れる?
代金の10分の2(2割)までです。これを超える額の手付は受領できません(宅地建物取引業法第39条第1項)。8種制限のひとつで、相手方が宅建業者のときは適用されません。
手付金の上限と保全措置の早見表
| 場面 | ルール | 根拠 |
|---|---|---|
| 手付の額 | 代金の2割まで | 法第39条第1項 |
| 手付の性質 | 性質を問わず解約手付として扱う | 法第39条第2項 |
| 買主からの解除 | 手付を放棄して解除できる | 法第39条第2項 |
| 売主(業者)からの解除 | 手付の倍額を現実に提供して解除できる | 法第39条第2項 |
| 解除できる期限 | 相手方が契約の履行に着手するまで | 法第39条第2項ただし書 |
| 買主に不利な特約 | 無効 | 法第39条第3項 |
| 損害賠償額の予定・違約金 | 合算して代金の2割まで(超えた部分が無効) | 法第38条 |
手付金等の保全措置は、いつ必要?
宅建業者が自ら売主となる売買で、買主から手付金等を受け取る前に必要です。ただし、次のどれかに当たるときは不要です。
| 物件 | 保全措置が不要になる金額 | 根拠 |
|---|---|---|
| 未完成物件(工事完了前) | 手付金等が代金の5%以下、かつ1,000万円以下 | 法第41条第1項ただし書・施行令第3条の5 |
| 完成物件(工事完了後) | 手付金等が代金の10%以下、かつ1,000万円以下 | 法第41条の2第1項ただし書・施行令第3条の5 |
| 共通 | 買主へ所有権移転の登記がされたとき、買主が所有権の登記をしたとき | 法第41条第1項・第41条の2第1項 |
金額はどちらも「かつ」です。代金5,000万円の完成物件なら10%は500万円なので、500万円までは保全措置なしで受け取れます。代金2億円の完成物件では10%が2,000万円になりますが、1,000万円を超えた時点で保全措置が必要です。
「手付金等」とは何を指す?
契約の締結日以後、物件の引渡し前に支払われる金銭で、代金に充当されるものです(法第41条第1項)。名前は手付金でも中間金でも、代金に充当されるなら手付金等に含まれます。契約を結ぶ前に受け取る申込証拠金は、条文の「契約の締結の日以後に支払われるもの」に当たらないため手付金等ではありませんが、契約後に代金へ充当されるものは手付金等として扱われます。
保全の方法は物件によって違う?
違います。指定保管機関による方法が使えるのは、完成物件だけです。
| 方法 | 未完成物件 | 完成物件 | 内容 |
|---|---|---|---|
| 銀行等の保証委託契約 | ○ | ○ | 銀行等が返還債務を連帯保証し、その書面を買主に交付する(法第41条第1項第1号) |
| 保証保険契約 | ○ | ○ | 保険会社と契約し、保険証券などを買主に交付する(法第41条第1項第2号) |
| 指定保管機関による保管 | × | ○ | 指定保管機関との手付金等寄託契約と、買主との質権設定契約の両方を結び、それぞれの書面を買主に交付する(法第41条の2第1項第1号・第2号) |
売主が保全措置を講じないときは、買主は手付金等を支払わないことができます(未完成物件は法第41条第4項、完成物件は法第41条の2第5項)。支払を拒んでも買主の債務不履行にはなりません。
試験でよく狙われるポイントは?
- 「手付は解約手付とする旨の定めがないので解除できない」→ 誤り。性質を問わず解約手付として扱われます(法第39条第2項)
- 「売主である業者は手付の倍額を提供する意思を示せば解除できる」→ 誤り。現実に提供する必要があります
- 「買主が履行に着手していれば、買主は手付を放棄して解除できない」→ 誤り。着手を理由に解除を封じられるのは相手方が着手した場合です
- 「代金の3割の手付を定める特約は、買主が同意すれば有効」→ 誤り。2割を超える部分は受領できません
- 「未完成物件で手付金が代金の8%(800万円)なら保全措置は不要」→ 誤り。未完成は5%以下かつ1,000万円以下のときだけ不要です
- 「保全措置を講じない売主に対しても、買主は手付金等を支払わなければならない」→ 誤り。支払わないことができます
民法の手付とは何が違う?
民法では、解約手付による解除は「相手方が履行に着手するまで」で、売主は手付の倍額を現実に提供します。宅建業法第39条は、宅建業者が自ら売主となる場合に、額の上限(2割)と、買主に不利な特約の無効を重ねて定めたものです。買主が宅建業者のときは、8種制限として適用されません。
よくある質問
宅建業者が自ら売主のとき、手付金の上限はいくらですか?
代金の10分の2(2割)までです。これを超える額の手付は受領できません(宅地建物取引業法第39条第1項)。買主が宅建業者のときは、8種制限として適用されません。
手付金等の保全措置が不要になるのはどんなときですか?
未完成物件では手付金等が代金の5%以下かつ1,000万円以下のとき、完成物件では10%以下かつ1,000万円以下のときです。また、買主へ所有権移転の登記がされたときや、買主が所有権の登記をしたときも不要です(法第41条・第41条の2、施行令第3条の5)。
指定保管機関による保全は未完成物件でも使えますか?
使えません。指定保管機関による手付金等の保管は、工事完了後の完成物件だけの方法です(法第41条の2第1項第1号)。未完成物件では、銀行等の保証委託契約か保証保険契約のいずれかになります。
売主が保全措置を講じないとき、買主はどうなりますか?
買主は手付金等を支払わないことができます(法第41条第4項)。支払を拒んでも買主の債務不履行にはなりません。