宅建試験で問われる相続・遺産分割・法定相続分の基礎知識

公開: 2026-08-10 ・ 宅建BOOST 編集部

宅建試験で相続の知識はなぜ重要ですか?

宅地建物取引士は不動産取引で相続物件を扱う機会が多く、民法に基づく正確な知識が不可欠です。

相続は民法第882条により「死亡によって開始する」と定められています。不動産は相続財産の主要な構成要素となることが多いです。国税庁の「相続税の申告状況」によると、相続財産に占める土地の割合は毎年約35%前後、家屋は約5%前後で推移しており、不動産が相続において大きな割合を占めることがわかります。宅建士は、これらの不動産が適正に承継されるよう、相続人の調査や遺産分割のプロセスを理解する必要があります。相続財産の範囲や、相続放棄・限定承認の期間(民法第915条で3ヶ月以内と規定)などの基礎知識は、顧客への適切な説明のために必須です。

法定相続分はどのように計算されますか?

法定相続分は民法で定められた相続人の取り分であり、配偶者と血族相続人の組み合わせにより割合が異なります。

民法第900条では、法定相続分が具体的に定められています。配偶者は常に相続人となり、血族相続人には順位があります。第一順位は子、第二順位は直系尊属(父母など)、第三順位は兄弟姉妹です。例えば、配偶者と子が相続人となる場合、配偶者の法定相続分は2分の1、子の法定相続分は2分の1(子が複数いる場合は均等に分割)です。具体的な割合は以下の通りです。

相続人の組み合わせ配偶者の法定相続分血族相続人の法定相続分
配偶者と子1/21/2(子全員で)
配偶者と直系尊属2/31/3(直系尊属全員で)
配偶者と兄弟姉妹3/41/4(兄弟姉妹全員で)
配偶者のみ100%-

また、遺言書があっても、相続人には民法第1042条により「遺留分」という最低限の相続割合が保障されています。遺留分は、直系尊属のみが相続人の場合は被相続人の財産の3分の1、それ以外の場合は2分の1です。

遺産分割協議はどのように進めるべきですか?

遺産分割協議は相続人全員の合意が必要であり、不動産の評価額や公平な分配が重要な論点となります。

遺産分割協議は、被相続人が遺言書を残さなかった場合や、遺言書の内容と異なる分割を希望する場合に行われます。相続人全員が参加し、遺産をどのように分割するかを話し合います。特に不動産は分割が難しいため、評価方法(路線価、固定資産税評価額、実勢価格など)を明確にし、公平な分配を目指すことが重要です。協議がまとまったら、後日の紛争を避けるため「遺産分割協議書」を作成します。この書面には相続人全員の署名と実印が必要です。協議がまとまらない場合、家庭裁判所に調停や審判を申し立てることも可能です。相続税の申告は、相続開始を知った日の翌日から10ヶ月以内に行う必要があります。国税庁のデータによれば、毎年約13万件前後の相続税申告が行われています。

よくある質問

相続税の基礎控除額はいくらですか?

相続税の基礎控除額は「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」で計算されます。この金額を超えた部分に対して相続税が課税されます。

遺言書がある場合、法定相続分は適用されますか?

遺言書が有効な場合、原則として遺言書の内容が優先されます。しかし、遺留分を侵害する遺言の場合、遺留分権利者は遺留分侵害額請求を行うことが可能です。

相続人が複数いる場合、不動産の名義変更はどうなりますか?

遺産分割協議が成立した後、その内容に基づいて不動産登記名義を相続人に変更します。相続登記は、法務局で申請手続きを行い、遺産分割協議書などの書類が必要です。

出典・参考